若手研究者のキャリアアップ・キャリアパス多様化に関する
研究指導者意識調査
| 目的: |
本学理工学術院各研究室に所属する若手研究者のキャリアアップ・キャリアパス多様化の現状と、それについての研究指導者の意識を調査することにより、本学の理系若手研究者のキャリア支援策に資する情報を提供する。 |
| 調査対象: |
早稲田大学理工学術院で大学院生の研究指導を行っている研究室の研究指導者(197名)。 |
| 回答数: |
138票(回収率70.1%) |
| 調査方法: |
各研究科事務室を通じて、学内便、FAX、E-MAILで調査票を送付・回収 |
| 調査期間: |
2007年3月~8月 |
| 調査実施機関: |
早稲田大学ポスドク・キャリアセンター |
調査概要
1.全体の分析結果
- 回答のあった研究室に所属する博士後期課程の人数は209名、博士課程修了者(いわゆるポスドク)の人数は171名である。
- 博士課程修了者の内訳は、助手が最も多く40名(23.4%)、次に職位の不明な「その他」33名(19.3%)、客員研究員30名(17.5%)、客員講師22名(12.9%)の順になっている。「その他」は、博士課程修了者が当該研究室と個別の業務契約をしているケース、または無給で研究活動を行っているケース等が含まれていると考えられる。
- 回答のあった研究室でアカデミア以外での就職を希望する者は、博士後期課程在籍者で60名、博士課程修了者では25名となっている。すなわち、博士後期課程在籍者の28.7%、博士課程修了者の14.6%がアカデミア以外での就職を希望している状況である。
- その内定の状況は、博士後期課程在籍者で就職内定率48.3%(29名)、博士課程修了者では就職内定率20.0%(5名)となっており、内定率に大きな差がある。博士後期課程在籍者と比べても、博士課程修了者は一層就職が困難になっている状況が看取される。
- 研究指導者が、博士後期課程在籍者や修了者のキャリアアップ、キャリアパス多様化を支援することを目的として、現在何か具体的な取り組みを行っているか否かの問いには、「行っていない」と答えた研究指導者が全体の63.8%(88人)を占めており、「行っている」と答えた研究指導者は同22.5%(31名)に留まっている。従来から学内で慣習として囁かれていた、「博士後期課程以上の若手研究者のキャリア形成は自助努力で行う」という状況が裏付けられたかたちとなっている。
- 研究指導者に、博士後期課程在籍者や修了者の能力面の課題について尋ねた問いでは、「研究開発、研究マネジメントといったイノベーション能力が不足している」が最も多く(「そう思う」「ややそう思う」「そうは思わない」の3択で、「そう思う」「そうは思わない」という答えを合わせると回答数の77.1%)、次いで「語学(英語)力が不足している」(同58.7%)、「異分野・融合分野に対する理解力・判断力が不足している」(同56.6%)の順になっている。一方、「論理思考能力や、文章作成・構想力などコミュニケーションの基礎能力が不足している」という命題には、「そう思う」「ややそう思う」という答えは同46.4%と、比較的低い回答数に留まっている。
- 研究指導者に、若手研究者のキャリアアップ、キャリアパス多様化に関する大学の制度面・環境面の課題について尋ねた問いでは、「大学として、若手研究者のキャリアアップ、キャリアパス多様化を組織的・戦略的に進めることが必ずしもできていない」という答えが最も多い(「そう思う」「ややそう思う」「そうは思わない」の3択で、「そう思う」と「ややそう思う」という答えを合わせると回答数の77.1%)。研究指導者は、若手研究者のキャリアアップ、キャリアパス多様化について、大学が組織的・戦略的にコミットしていく必要を認識しているといえる。
- 一方、「若手研究者が自ら申請主体となって公的研究補助金を取ることにさまざまな障害がある」という命題に対しては、「そう思う」「ややそう思う」という回答は回答数の45.1%に留まり、一方「そうは思わない」という回答は同43.8%に上った。若手研究者が自ら申請主体となって公的研究補助金を取得することの困難は、若手研究者の側からは現状の大きな課題としてしばしば訴えられることであるが(たとえば、平成18年12月7日開催の本学フォーラム『理系人材の挑戦』における、ポスドク代表者の問題提起)、その問題について、研究指導者の側の約半数は認識していないことがわかる。
- 若手研究者のキャリアアップ、キャリアパス多様化を支援するために、研究指導者が各自で構想している具体的な取り組み計画(アクションプラン)についての問いでは、「研究指導者が若手研究者に対して、情報提供や就職先の紹介を行う」という答えが最も多く(全回答の25.4%)、次いで「共同研究やインターンシップなど、若手研究者が産業界と交流する機会を積極的に創出していく」(同23.1%)、となっている。研究指導者は、自身が産業界との仲介役/調整者となることで、若手研究者のキャリアアップ・キャリアパス多様化を支援する方向性を考えていることがわかる。
- 若手研究者のキャリアアップ・キャリアパス多様化を支援するために、大学が今後実施すべき取り組みについての問いでは、「若手研究者に対して、大学が組織的に情報提供や就職先の紹介を行う体制を整備する」という答えが最も多く、全回答の4分の1を占めている(25.9%)。従来本学では、大学院生の就職支援は各研究室で個別に行われていたが、科学技術と社会との関わりが拡大・深化していく中で、研究指導者は、大学が組織的・制度的に若手研究者の就職支援を行う必要を意識していることがわかる。
2.個別項目
n=209
回答のあった研究室に所属する博士後期課程在籍者の人数は全体で209名、そのうちD1が65名(31.1%)、D2が56名(26.8%)、D3が63名(30.1%)、D4以上のオーバードクターが25名(12.0%)となっている。
n=171
回答のあった研究室に所属する博士後期課程修了者の人数は全体で171名、内訳は助手が最も多く40名(23.4%)、次に職位の不明な「その他」33名(19.3%)、客員研究員30名(17.5%)、客員講師22名(12.9%)の順になっている。
単位:%
回答のあった研究室でアカデミア以外での就職を希望する者は、博士後期課程在籍者で60名、博士課程修了者では25名となっている。その内定の状況は、博士課程在籍者で就職内定率48.3%(29名)、博士課程修了者では就職内定率20.0%(5名)となっている。
n=138
研究指導者が、博士後期課程在籍者や修了者のキャリアアップ、キャリアパス多様化を支援することを目的として、何か具体的な取り組みを行っているか否かの問いには、「行っていない」と答えた研究指導者が全体の63.8%(88人)、「行っている」は同22.5%(31名)となっている。
若手研究者の能力開発の課題については、「研究開発戦略、研究マネジメントといったイノベーション能力が不足している」という答えが最も多く(「そう思う」と「ややそう思う」という答えを合わせると62.3%)、次に「語学(英語)力が不足している」(同58.7%)、「異分野・融合分野に対する理解力・判断力が不足している」(同56.6%)の順になっている。
若手研究者のキャリアアップ、キャリアパス多様化に関する制度面・環境面の課題については、「大学として、若手研究者のキャリアアップ、キャリアパス多様化を組織的・戦略的に進めることが必ずしもできていない」という答えが最も多く(「そう思う」と「ややそう思う」という答えを合わせると77.1%)、次に「産業界との交流の場が確保できない。研究内容と産業界のニーズをマッチングさせる機会も少ない」(同61.1%)、「広く社会(産業界)で活躍するために必要な情報(産業ニーズ、産業が求める人材等)が不足している」(同59.7%)の順になっている。
n=260、単位:%
若手研究者のキャリアアップ、キャリアパス多様化を支援するための、研究指導者自身の具体的な取り組み計画(アクションプラン)については、「研究指導者が若手研究者に対して、情報提供や就職先の紹介を行う」という答えが最も多く(全回答の25.4%)、次に「共同研究やインターンシップなど、若手研究者が産業界と交流する機会を積極的に創出していく」(全回答の23.1%)、「研究指導者自身が産業界のニーズ動向の把握に努め、指導内容に反映させていく」(同17.3%)の順になっている。
n=263、単位:%
博士後期課程在籍者や修了者のキャリアアップ、キャリアパス多様化を支援するため、大学が今後実施すべき取り組みについては、 「若手研究者に対して、大学が組織的に情報提供や就職先の紹介を行う体制を整備する という答えが最も多く(全回答の25.9%)、次に、 「産学官の連携を強化し、共同研究やインターンシップなどをふくめ、若手研究者が産業界と交流できるシステムを大学が組織的に構築していく」 (同20.5%)、「若手研究者と研究指導者が産業界のニーズ動向を的確に把握できるよう、産学官の意見交換やセミナーなどを充実していく」(同16.7%)の順となっている。